氏名 : 増山 陽太 (281567155)
所属 : 笹井研
題目 : 蛋白質立体構造における疎水効果を見積もる新規指標の開発
概要 :
蛋白質を構成する約20種のアミノ酸には、親水的または疎水的な側鎖を持つものがある。疎水的なものを凝集させる疎水効果の評価は、蛋白質の構造予測やデザインのために重要である。疎水効果は蛋白質に立体構造を形成させる主たる駆動力であるので、疎水的アミノ酸が構造中で凝集しているかを、正しく見積もる必要がある。あるアミノ酸の構造中での凝集の指標としては、周囲の他のアミノ酸の個数で定義されるコンタクト数が広く使われている。実際、各種アミノ酸のコンタクト数が従うべき確率密度分布を構造データベースの解析で決定し、
その分布に基づき立体構造をスコア付けすることで、構造の安定性は評価できる。だが、コンタクト数は、凝集しているアミノ酸と、表面で露出するアミノ酸とを、十分に弁別できないという問題がある。また、コンタクト数が従う分布は単峰型で、疎水効果に特徴的な協同性を表す双峰型でないことも問題である。本研究では、側鎖の延長線上の仮想的な点の周りのアミノ酸の個数で定義される、新規なコンタクト数を作成した。新規指標は、アミノ酸の凝集と露出を良く弁別でき、正しい立体構造を偽立体構造群から識別する試験で優位性を示した。
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