氏名 : 小林 直樹 (281567108)
所属 : 白石研
題目 : 乱流の直接数値計算による原始惑星系円盤中の粒子運動に対する鉛直重力の影響
概要 :
原始惑星系円盤中の微惑星形成過程において,乱流は微粒子の衝突・合体を妨げるものと従来考えられていたが,乱流にはむしろ衝突・合体を促進する働きがあるとして近年着目されている.微惑星形成過程の解明のためには乱流中の慣性粒子(流れへの追従性が慣性に依存する微粒子)の運動の理解が重要であると考えられるが,乱流中の微粒子が一定の平均沈降速度をもつ要因となる鉛直重力の影響も把握しておく必要がある.乱流中の慣性粒子の運動に対する鉛直重力の影響を理解するため,本研究ではナビエ・ストークス方程式の直接数値計算(DNS)により,微細な渦の動きまで解像して得られる乱流場中で鉛直重力の働く慣性粒子の運動を数値的に追跡する数値実験を行った.最大格子点数1024^3の乱流DNSにおいて慣性と重力の異なる慣性粒子の追跡を行い,動径分布関数と平均接近速度,および,それらの積で表される衝突頻度を用いて解析した.その結果,粒子は鉛直重力の影響を受け集積の傾向が変化し,平均接近速度は鉛直重力の影響が大きくなると慣性の大きい粒子ほど大きく減少することなどが分かった.また衝突頻度は重力の影響が大
きいほど
減少する.しかし一方で原始惑星系円盤を想定した場合衝突限界速度以下の粒子が増加するため慣性の大きな粒子は衝突頻度が増加することがわかった.
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