氏名 : 寺井 喜彦 (281567137)
所属 : 大野研
題目 : 理想せん断強度の新理論モデルの構築
概要 :
本発表では、理想せん断強度の新理論モデルの構築に関して述べる。理想強度は、欠
陥のない完全結晶に均一な負荷を与えた際に、材料が耐えうる最大応力と定義され
る。理想強度は、実際に材料が塑性変形する応力(降伏強度)より2〜4オーダー大き
く、理想強度を用いて材料の塑性変形を議論することは非現実的なものとして考えら
れてきた。しかし、ナノスケールにおいては、降伏強度理想強度となることが近年報
告されている。すなわち、理想せん断強度を明らかにすることが、ナノスケール材料
の塑性変形を議論する上で重要となる。理想せん断強度の理論モデルとしてフレンケ
ルモデルが知られている。しかし、フレンケルモデルは結晶構造やすべり系ごとでそ
の精度が大きく異なり、誤差が大きいすべり系では約3倍も過大評価をする。そこ
で、本研究では、原子間相互作用の概念を導入することで、物理的に明瞭かつ高精度
な理想せん断強度の理論モデルを新たに構築した。そして、面心立方(FCC)構造、体
心立方(BCC)構造、最密六方(HCP)構造の各すべり系について、構築した新モデルによ
り理想せん断強度を求め、第一原理解析により求めた理想せん断強度と比較すること
により新理論モデルの有効性の検討を行った。
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