2階線形常微分方程式の2点境界値問題において従来用いられてきた主な数値計算 方法には,差分法,境界要素法,Galerkin法などがある.精度面から比較すると,差 分法・境界要素法の誤差評価はO(N^-p)でありそれほど良くない.それらに比べて, Galerkin法では基底関数にLegandre多項式やChebychev多項式などが用いられた場 合,誤差評価はO(exp[-cN])と非常に良い.しかし,領域の境界に特異性がある場合 には極端に精度が悪くなり,この誤差評価は全く当てはまらなくなる.そこで今回 は,Legandre-Galerkin法やChebychev-Galerkin法ほど精度は良くないが端点特異性 を持つ場合でも誤差評価が不変に与えられるSinc-Galerkin法を用いて2点境界値問題 を解くことを考える.
Sinc-Galerkin法を適用する場合には領域を一旦無限区間へ変数変換する必要が あり,この変換を如何に設定するかが重要な要素となる.これに伴い,従来の方法と 比較して問題の端点特異性を意識せずに本方法を使うことが出来る利点も出てくる. これを適切に選んだものとして,SE変換とDE変換があり,誤差評価はそれぞれ O(exp[-cN^0.5]),O(exp[-cN/logN])となる.