高次特異値分解とは,行列の特異値分解$\, A=USV^T$を高次元データ(テンソル)のために拡張した手法である.高次元データは高次特異値分解によって各次元の特徴量を表す複数の特徴行列と,主成分となるコアテンソルに分解される.近年,高次特異値分解はデータ圧縮や主成分分析領域で注目を集めている.
本発表では,low-rank高次特異値分解の性能を高める反復解法について述べる.既存研究からHOOI法(Lathauwer and Moor, 2000)とNewton-Grassmann法(Elden and Savas, 2007)に着目し,数値実験を行うことで両方のアルゴリズムの性能を比較する.実験結果により,HOOI法は収束まで計算量は多いが,収束性が良好であり,逆にNewton-Grassmann法は反復回数は少ないが,収束性がコアテンソルのサイズに関わることを本発表で示す.