GPSの利用が難しい屋内での位置推定技術として,加速度センサを用いる自律航法や無線LANの電波強度を利用する手法などが提案されている.本研究では,配布型BLEビーコンタグと環境固定のBLEスキャナを用いる位置推定手法を提案する.
提案手法では展示会の来場者に配布したBLEビーコンタグが発するパケットを環境中のスキャナで受信し,位置推定を行う.BLEの電波強度は不安定なため,多数のスキャナを使いパケットを受信して精度の向上をはかった.G空間EXPO2015での実験で収集したデータを用い位置推定を行ったところ,誤差は10から20m程度となった.
誤差の原因を検討すると,頻繁なパケットロスが確認された.パケットロスが発生すると位置推定を行うのに十分なデータが得られないため,パケットロスの低減とパケット到来方向の判定をねらい,1台に複数個のBLE受信ドングルを備えるタンデムBLEスキャナを構築した. G空間EXPO2016で実験を行い,タンデムBLEスキャナの利用によるパケットロスの低減を確認し,テストデータで位置推定精度の改善も確認した.
今後はタンデムBLEスキャナの利用で位置推定精度がどのように変化するか検証し,位置推定アルゴリズムの高精度化をはかる.