信号源分離は信号の統計的性質を用いて,信号源別に信号を分離する手法である.ノイズと注目成分の信号源が異なる場合,信号源分離を用いて,注目信号を抽出することが可能である.本研究では,脳波の有効な成分を抽出するための新しい信号源分離の手法を提案する.
脳波に対する信号源分離としては,短時間フーリエ変換によって信号を時間周波数領域で扱い,局所的な時間周波数領域ごとに信号源を推定する手法が存在する.しかしながら,周期の長い成分が複数の時間周波数領域に分割されてしまう問題があり,解析を困難にしていた.提案手法では,局所時間周波数領域の隣接情報を利用することで,この問題を低減する.