氏名 : 日比野 真彦 (281667179)
所属 : 白石研
題目 : 原始惑星系円盤乱流中で赤道面に沈降するダスト運動の数値解析
概要 :
原始惑星系円盤中の微惑星形成過程において、薄い赤道面に沈降したダストが重力で合体するとした「重力不安定モデル」では、乱流が微粒子の衝突・合体を妨げると考えられていた。一方、ダストが互いに衝突しながら成長するとした「付着成長説」では、乱流にはむしろ衝突・合体を促進する働きがあるとして、近年着目されている。微惑星形成過程の解明のためには円盤ガス中の慣性粒子(流れへの追従性が慣性に依存する微粒子)の運動の理解が重要であると考えられるが、同時に、乱流中の微粒子が赤道面に沈降する運動の影響も把握しておく必要がある。乱流中で赤道面に沈降する慣性粒子の運動を理解するため、本研究ではナビエ・ストークス方程式の直接数値計算(DNS)により、微細な渦の動きまで解像して得られる乱流場中で、鉛直重力の働く慣性粒子の運動を数値的に追跡する数値実験を行った。最大格子点数256^3の乱流DNSにおいて、慣性の異なる慣性粒子の追跡を行い、動径分布関数と平均接近速度、および、それらの積で表される衝突頻度を用いて解析した。その結果、粒子は鉛直重力の影響を受け集積の傾向が変化し、平均接近速度は鉛
直重力の
影響が大きくなると慣性の大きい粒子ほど減少することなどが分かった。しかし、一方で原始惑星系円盤を想定した場合、衝突限界速度以下の粒子が増加するため慣性の大きな粒子は衝突頻度が増加することがわかった。
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