近年, バスロケーションシステムの発展により, 従来のバス停出発情報に加え, 走行中の位置情報が容易に取得可能となった. そこで、本研究ではバス運行実績データを用いた到着時刻予測及び運行状況分析を行った.
バスは交通状況や天候の影響を受けるため, 正確な運行予測が困難な現状にある. そこで, 重回帰モデルとカルマンフィルタの併用による到着時刻予測手法を提案した. 具体的には, 運行実績データの重回帰分析により系統毎のモデルを生成し, カルマンフィルタを用いたモデルの更新により, バスが進行するにつれて予測誤差が小さくなるようにした. 予測結果と同時に誤差を表示し, 利用者が行動しやすいよう工夫した.
また, 運行実績データを用いた様々な研究が行われているが, ある1つの要素の遅延に対する影響を検討したものが多く, 要素間の関係性について検討したものは少ない. そこで, 遅延や早発といった運行状況を表したヒートマップ上に, バス停, 信号, 走行位置といった情報を同時に表示し, 要素間の関係性や遅延場所及び要因について分析した.
本研究により, バス会社の分析効率が向上し, 人々がより快適にバスを利用できる社会の実現を目標とする.