近年,カーボンナノチューブ(CNT)を平面上に多数林立させた高密度な垂直配
向カーボンナノチューブ(VACNT)
が提案されており,VACNTの圧縮特性や座屈特
性は,単一のCNTとは異なることが報告されている.しかし,
VACNTの圧縮座屈特
性の詳細は不明である.
そこで,本研究では,VACNTの軸方向圧縮変形解析を分子力学法により行い,欠
陥(Vacancy,Stone-Wales),
チューブ間距離,および架橋の圧縮座屈特性への
影響を検討した.その結果,最も安定なチューブ間距離の
VACNTの場合,単一の
CNTに比べて,VACNTの圧縮座屈ひずみは低下した.対して,チューブ間距離が狭い場
合
と広い場合共に,VACNTの圧縮座屈ひずみは上昇した.欠陥に関しては,
Vacancyの場合,単一のCNTに比べて
VACNTの圧縮座屈ひずみは低下したが,
Stone-Walesの場合は上昇した.架橋に関しては,その数が多いほど
圧縮座屈ひ
ずみは上昇した.検討した3つの要因のうち,チューブ間距離が圧縮座屈特性に最も
強く影響した.