近年,有限要素法を用いた計算機シミュレーションが研究機関や民間企業で多く
行わ
れている.非弾性FEM解析では,解析結果が負荷経路に依存し,負荷をいくらか
のステッ
プに分割して増分計算を行う必要がある.Newton-Raphson法に基づく非
弾性FEM解析で
は,構成式の陰的応力積分を行うことにより,増分安定性と数値安
定性を得ることがで
きる.Kobayashi-Ohnoは,構成式を非線形スカラー方程式に帰
着させることにより,非
線形移動硬化モデルの陰的応力積分を行っている.しか
し,Kobayashi-Ohnoの提案した
計算アルゴリズムを平面応力状態の解析に適用す
る場合には,3次元状態とは別に定
式化し直す必要があった.また,この手法では,
陰的積分の反復計算で1次収束しか得
られなかった.
そこで本研究では一般的な3次元問題のためのアルゴリズムに拡張を施し,平面
応力
状態にも適用可能な新しい陰的応力積分アルゴリズムの構築を行う.応力積
分は収束
性に優れたNewton-Raphson法に基づく手法を用いて行う.本研究では,3
次元と平面応
力状態に適用可能なアルゴリズムの基礎的検討を行うため,構成則
は弾完全塑性
を用いた.