現在、ユーザの行動に応じた周辺機器の稼働を目的とし、計算機による人間 行動認識に関する研究が盛んに進められている。これらの研究の多くでは、行動 認識率の評価実験を行う際に、研究毎に被験者を設定しているため、評価用の行 動データに含まれる被験者数は少人数である。また、評価用データは、研究室間 で共有されていないため、行動認識に関する実験を行った際の評価結果を比較・ 検討することは困難である。したがって、提案された行動認識アルゴリズムの正 当性を十分に評価することはできない。
上記の問題に対して、我々は、大規模行動データベースの構築を目的とした 研究イベント "HASC Challenge 2010" を開催し、500 名程度の被験者情報、 6000 以上の行動データファイル収集し、人間行動データコーパス "HASC2010corpus" を構築した。また、"HASC2010corpus" を研究室や企業の間で 共有するための仕組みを定めた。更に、本研究では、上記イベントで収集した大 規模行動データを対象とし、大規模行動データを対象とした行動認識、聴覚的な 人間行動理解を目的とした行動に応じた音の生成、人間行動モデルを適用した行 動の詳細情報の取得を行っている。